修了生+卒業生>矢澤芽生



卒業研究(作品) 透ける/日本の伝統建築からみる透明性の空間

設計趣旨
建築家の西澤文隆は、適当に遮りながら、完全には遮らず、空気を流動させることこそ、我が先祖が風土に根ざして獲得した快適な住まい方であったとて、「透ける」という言葉で日本建築の良さを表した。一方、西洋建築においての透明性は、19 世紀以降の鉄骨やガラスという近代材料による建築物の実現によって、初めて獲得されたものだった。本研究では、これらのことを踏まえた上で、日本の気候風土に由来した新たな「透ける」建築を具体的な設計案として提示する。自然豊かな土地として、琵琶湖に浮かぶ竹生島を選定し、島全体に、4 つの建築を点在配置させた。機能はそれぞれ美術館、入浴・宿泊施設、休憩所、および展望台である。壁の角度、柱の太さ、ガラスの重なりなどの構成要素を検討し、雄大な自然と建築、人との関わりや建築の外部と内部の連続性を提示した。